
公正証書遺言ってあまり聞きなれない言葉ですよね。公証人が作成する公文書で、法律行為や私権に関する事実を記録したものを公正証書といいます。契約書だけでなく、遺言書も公正証書として作成することができます。この公正証書は証拠力がたいへん高く、これに反する証明がなされない限り、証拠力があります。なにより、原本が公証役場で原則20年間と定められていますが、公正証書遺言については、遺言者の死亡後50年は保管される取扱になっています。紛失の心配がありません。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書のことです。遺言者の意思を確実に残し、法的効力を持たせるために最も信頼性の高い方法とされています。公正証書遺言は、相続トラブルを避けたい方や、法的に強固な遺言を残したい方に特におすすめです。
公正証書遺言の特徴
- 法的効力が強い
公証人が作成するため、無効とされる可能性が低いです。 - 安全性が高い
原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクがありません。 - 手続きが明確
公証人の立ち合いのもとで作成されるため、形式や内容に不備がありません。
公正証書遺言の作成手順
- 事前準備
遺言内容を決め、必要な書類を揃えます。主な書類としては、遺言者と相続人の戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、預貯金の通帳などが挙げられます。 - 公証人との打ち合わせ
公証役場に事前に予約をし、公証人と打ち合わせを行います。遺言の内容や手続きを確認し、必要に応じて修正を加えます。 - 証人の確保
公正証書遺言の作成には、2名以上の証人が必要です。証人は遺言者の家族や利害関係者ではない第三者でなければなりません。証人は、公証役場が手配することも可能ですので相談してください。 - 公正証書の作成
公証人と証人2名の前で遺言内容を口述し、公証人が、その遺言が遺言者の真意であることを確認して、公証人がこれを文書化します。そして、遺言者と証人が内容を確認し、署名捺印を行います。 - 公正証書の保管
作成された公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。

公正証書遺言の費用
公正証書遺言の費用は、公証人手数料、証人手数料、その他書類作成費用などが含まれます。具体的な費用は遺産の総額によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
- 公証人手数料
遺言の目的の価格が100万円以下であれば5,000円。5,000万円を超えて1億円以下であれば43,000円など、価格によって手数料が前後します。 - 証人手数料
証人を公証役場が手配する場合、1名あたり1万円前後の費用がかかります。
※未成年者や想定される相続人、受遺者(財産をもらう人)などは証人になれません。利害関係がある人は証人になれませんので、親戚はほとんど証人になれないと考えておきましょう。 - その他費用
書類作成を委託する場合や、公証役場に支払う交付手数料(1通250円)などの実費が発生します。
まとめ
公正証書遺言は、法的に強固で信頼性の高い遺言書の作成方法です。公証人のサポートを受けることで、遺言の内容や形式に不備がないようにし、遺産相続に関するトラブルを未然に防ぐことができます。費用はかかりますが、将来的な安心感を考えると、その価値は十分にあります。
公正証書遺言の作成を検討されている方は、一度行政書士や公証役場に相談されることをお勧めします。まずは、どのような終活をお望みであるか、ぜひ当事務所にお気軽にご相談ください。
