相続問題を説明するイラスト。邸宅と電卓で相続を想起するシーン。

前回の記事の続き、財産調査の進め方の後半です。相続が発生すると、相続財産の調査が必要になります。相続財産の調査とは、「被相続人の財産を正確に把握して、財産額を確定すること」です。調査結果を根拠として、遺産分割協議や相続放棄すべきかの判断。そして相続税額の特定し把握することにあり、大変重要です。この二つの記事を参考にして財産調査を漏れなくすすめ、その後の手続きを円滑に進めていきましょう。

相続財産調査の方法の4step

《STEP3》死亡時の財産額を確認する

次に、死亡時点での財産の状況を把握します。具体的には以下の財産を確認します。

預貯金

銀行口座の残高証明書を取得します。この場合、死亡日を日付指定して発行してもらいます。
必要な書類は下記のとおりです。


・残高証明書発行依頼書
・亡くなった人の死亡の事実が分かる戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることが確認できる戸籍謄本
・申請者の本人確認書類
・申請者の実印
・申請者の印鑑証明書

※費用はおおよそ500円から1,000円 ※1週間程度で発行される。

ちなみに、証券会社にも残高証明書を発行してもらえますので、口座のある証券会社のホームページや問い合わせフォームなどを使って相談します。

不動産

①不動産を保有していた場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して、その土地の権利関係を確認したあとに、不動産の評価額を調べていきます。
登記事項証明書(登記簿謄本)は、法務局で申請するか、オンラインで申請します。
オンラインでの申請はこちら(法務局ホームページ)

※費用はオンラインが安くてそして便利です。申請手数料は500円です。オンラインで申請→法務局で受取の場合は、最短即日で受け取ることができます。

②次に不動産の評価額を明らかにしていきます。固定資産税の納税通知書でも確認することはできますが、ない場合は固定資産評価証明書を取得して確認することができます。
固定資産評価証明書は、その不動産がある市町村役場で申請します。
必要書類は下記の通りです。

  • 申請書(市町村役場のホームページでもダウンロードできます)
  • 申請者の本人確認書類
  • 申請者の戸籍謄本
  • 亡くなった人の死亡が分かる戸籍または除籍謄本
  • 切手貼付済の返信用封筒(郵送の場合)
  • 手数料分の定額小為替(郵送の場合)

※費用は300円程度。 申請から1~2週間程度で発行されます。

車などの動産

車や貴金属などの動産は、それぞれの査定会社や買取会社に見積もりを依頼するのが良いでしょう。見積もりを取る場合は、ビンテージ品や収集品も含まれる場合がありますので慎重に査定を依頼することをおススメします。

借金

借り入れのある金融機関に問いあわせして、借入金額を確認していきます。借入残高証明書を発行してもらいましょう。
必要書類、費用、取得に要する時間は各金融機関に問いあわせをして確認しましょう。
特に、借入先に連絡する際は、返済の約束をしないように注意してください。相続人として調査をしているとだけ伝えると良いでしょう。

《STEP4》財産目録を作成する

全ての財産が確認できたら、財産目録を作成します。この目録には、プラスとマイナスの財産を両方記載します。財産目録をもとに、遺産分割協議を行うことで、相続分配の話し合いをスムーズに進めることができます。また、相続税の申告の際は必要な書類になります。

特別に規定された書式はありませんが、下記に裁判所で公表している財産目録の書き方例を貼っておきますので参考にしてください。

財産目録の記例(参照:裁判所ホームページ遺産分割調停について)


申請書の画像

財産調査は地道な作業!専門家に依頼すべきケースと費用相場

相続財産の調査は、複雑で手間がかかる作業です。進め方が分からない、手がかりが見つからない、財産が複雑に絡み合っている場合には、専門家に依頼することをお勧めします。財産調査のみなら行政書士へ、トラブルが想定される場合は弁護士へ相談すると相談内容に応じた料金や内で対応してもらえるのでスムーズです。

費用相場:
行政書士に依頼する場合、費用は数万円からが多く比較的費用を抑えられる傾向にあります。弁護士に依頼する場合は10〜30万円程度が一般的です。なお、財産の内容や依頼する範囲によって費用が異なるため、事前に相談のうえ、見積もりを取ることが大切ですね。


まとめ

相続財産調査は、相続手続きの円滑化相続税対策のために欠かせません。相続放棄の期限である3ヶ月以内に行う必要があります。中身も預貯金や不動産、借金まで幅広く調査する必要があります。調査は地道な作業であり、必要に応じて専門家に依頼することも検討しましょう。