遺言書は、自身の財産をどのように分配するかを明確に示す重要な文書です。適切な手続きを踏まえることが重要であり、専門家の支援を受けることが推奨されます。しかし、遺言書作成には一定の費用がかかり、依頼する専門家によっても費用が異なります。この記事では、遺言書作成にかかる費用や専門家に依頼する際の注意点について解説します。
遺言書作成にかかる法的な費用
遺言書作成にかかる法的な費用は、遺言書の種類によって異なります。以下に主な遺言書の種類とそれぞれにかかる法的費用を示します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が自らの手で書く遺言書です。この方法では、公証人の関与が不要であり、法的な費用はかかりません。ただし、自筆証書遺言を法務局に預ける場合は、遺言書保管制度を利用することが推奨されます。この制度の利用には、以下の費用がかかります。
- 遺言書保管手数料:3,900円
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。この方法は、法的な効力が高く、偽造や紛失のリスクが低いため、多くの人が利用しています。公正証書遺言の作成には、以下の費用がかかります。
- 公証人手数料:公証人手数料令第9条別表に基づき、遺産の評価額に応じて異なります。具体的には以下の通りです。
- 100万円未満の場合:5,000円
- 100万円を超え200万円までの場合:7,000円
- 200万円を超え500万円までの場合:11,000円
- 500万円を超え1,000万円までの場合:17,000円
- 1,000万円を超え3,000万円までの場合:23,000円
- 3,000万円を超え5,000万円までの場合:29,000円
- 5,000万円を超え1億円までの場合:43,000円
- 1億円を超える場合、5,000万円ごとに追加で11,000円
専門家に依頼する場合の費用
遺言書作成に当たっては、法律の専門知識が必要となるため、弁護士、行政書士、信託銀行などの専門家に依頼することが一般的です。それぞれの専門家に支払う報酬額の目安は以下の通りです。
遺言書作成費用
専門家に遺言書作成を依頼する場合の費用は以下の通りです。
弁護士
弁護士に遺言書作成を依頼する場合、報酬額は事案の複雑さや遺産の規模によって異なります。一般的な報酬額の目安は以下の通りです。
- 基本報酬:10万円~30万円
行政書士
行政書士は、遺言書作成に関する手続きや相談を専門とする法律専門家です。行政書士に依頼する場合の報酬額の目安は以下の通りです。
- 基本報酬:5万円~15万円
信託銀行
信託銀行は、遺言信託サービスを提供しており、遺言書の作成から管理、執行までをサポートします。信託銀行に依頼する場合の報酬額の目安は以下の通りです。
- 遺言書作成費用:10万円~20万円
遺言執行費用
遺言執行者に依頼する際の費用は以下の通りです。
弁護士
弁護士に遺言執行を依頼する場合、旧日本弁護士連合会報酬等基準に従っている法律事務所があります。同基準によると、以下のような費用がかかります。
- 相続財産の総額が300万円を超え3000万円以下の場合:2%+24万円
- 相続財産の総額が3000万円を超え3億円以下の場合:1%+54万円
行政書士
行政書士に遺言執行を依頼する場合、基本報酬は固定額であることが多く、以下のような目安となります。
- 基本報酬:5万円~15万円
信託銀行
信託銀行に遺言執行を依頼する場合、以下のような費用がかかります。
- 遺言執行費用:遺産総額の0.5~2%
- 最低報酬額:多くの信託銀行では、最低報酬額が設定されており、20万円~50万円程度が一般的です。
専門家に依頼する際の注意点
専門家に遺言書作成を依頼する際には、以下の点に注意することが重要です。
1. 専門家の選定
専門家の選定は慎重に行う必要があります。弁護士や行政書士の中には、遺言書作成に関する豊富な経験を持つ者もいれば、そうでない者もいます。信頼できる専門家を選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。
- 経験と実績:遺言書作成の経験が豊富であるかどうか
- 料金体系:報酬額が明確かどうか
- 口コミや評価:他の依頼者の評価や口コミを確認する
2. 初回相談の活用
多くの専門家は、初回相談を無料で提供しています。初回相談を利用して、専門家の対応やアドバイスの質を確認しましょう。また、相談の際には、自身の希望や状況を詳しく説明することで、適切なアドバイスを受けることができます。
3. 見積もりの取得
依頼する前に、見積もりを取得することが重要です。見積もりには、具体的な費用や作業内容が明示されていることが望ましいです。見積もりを比較検討し、納得のいく専門家を選びましょう。
まとめ
遺言書作成は、自身の財産を適切に分配するための重要な手続きです。法的な費用や専門家に依頼する際の費用を理解し、適切な専門家を選定することで、安心して遺言書を作成することができます。また、自筆証書遺言書保管制度を活用することで、遺言書の安全性を確保することができます。遺言書作成に関する疑問や不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。