遺言書は、相続人に対する大切なメッセージを伝える重要な文書です。しかし、遺言書は書いた方が良いのか?法的に必要なのか?そして書くとしても、どのような種類があるのか、またその書き方にはどんな注意点があるのかを知らない方も多いかもしれません。今回の記事は相続の入り口でもある遺言書の種類と書き方のポイントについて詳しく解説します。
遺言書は必要か?
終活を考えて遺言書を書いておく人は多いですが、最近は40代や50代の比較的若い世代でも、遺言書を書くことで自分自身の老後を考えて準備する人が増えてきています。私も50代の節目を迎えていますが、振り返る意味でも書いておこうかと思っています。
さて、遺言書の作成は法律で定められているわけではありません。自由です。しかしながら、遺言書がなければ相続に関するトラブルが起きやすく、あとに残された人が苦労することが多いです。残された家族が円滑に相続手続きを進められるよう、書く人の思いを込めて遺言書を作成すべきだと考えます。
遺言書を書いた方が良い理由
遺言書を書くべき理由は例えば下記のような場合です。
- 遺産の配分を自分で決めたい
- 法定相続人以外の人に遺産を残したい
- 相続させたくない「人」や「財産」がある
- 独身で子供がいない
- 相続人同士の仲が悪い
- 援助が必要な家族がいる
- 子供のいない夫婦である
- 相続人のなかに認知症の人がいる
- 揉めると予想できる場合
大まかに上げるとこのような場合はまず、遺言書を書いておくべきでしょう。ご自身に置き換えてみて、どの可能性があるか?を想定しておきましょう。
遺言書の主な種類
遺言書にはいくつかの種類があります。下記に説明していきます。
遺言書の主な種類
- 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が自分で全ての内容を手書きで記入するものです。遺言者が自筆で全文を記載し、日付と署名を行う必要があります。特に、手書きで記入する部分が多いので、文字が読みにくかったり、必要な要件を満たしていない場合に、あとで争いが生じる可能性があります。
自筆証書遺言を作成する際には、書き方や形式について十分に注意を払い、必要であれば行政書士に相談することをお勧めします。 - 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人役場で作成されるもので、遺言者が口述した内容を公証人が文書にまとめ、遺言者と証人が署名する形式です。公証人が関与するため、形式に不備がないか確認してもらえ、遺言書の有効性が高まります。公正証書遺言を利用する際には、事前に行政書士に相談し、遺言内容の適正性や公証手続きについて確認すると良いでしょう。 - 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書の内容を秘密にしたい場合に用います。遺言者が自分で書いた遺言書を封筒に入れ、公証人にその存在を証明してもらいます。ただし、内容に関する検証はないため、形式的な問題がないか確認が必要です。秘密証書遺言を作成する際は、行政書士に相談し、内容や形式に不備がないように注意を払いましょう。
遺言書作成の注意点
- 自筆証書遺言の注意点
自筆証書遺言を作成する際は、全ての内容を遺言者自身の手で書かなければなりません。パソコンでの作成や他人の代筆は無効です。また、日付と署名が欠けると、遺言書としての効力が失われます。さらに、保存場所にも注意が必要で、家族や信頼できる人に通知しておくと良いでしょう。自筆証書遺言に不安がある場合は、行政書士に相談し、内容が法的に適切であるか確認してもらうと安心です。 - 公正証書遺言の注意点
公正証書遺言は公証人に依頼するため、費用がかかりますが、その分法的な安心感が得られます。事前に公証人と相談し、必要な書類や内容について準備を整えることが重要です。また、証人が必要であるため、信頼できる人を選ぶことも大切です。公正証書遺言の作成にあたっては、行政書士に相談し、スムーズな手続きを進めるためのアドバイスを受けると良いでしょう。 - 秘密証書遺言の注意点
秘密証書遺言は内容が秘密であるため、遺言書が確実に保管されることが求められます。公証人が内容を確認しないため、書式や形式に不備がないように注意が必要です。また、遺言者が死亡後にその存在が確認されるまで、遺言書が無効となるリスクもあります。秘密証書遺言についても、行政書士などの専門家に相談し、書式や保管方法について確認することが重要です。
遺言書の有効性と法定相続分
遺言書が有効であるためには、民法第960条に基づく形式的な要件を満たしていることが必要です。遺言者が亡くなった際、遺言書が法定相続分を超えて相続分を指定する場合、その内容が有効かどうかも確認する必要があります。遺言書の内容と法定相続分の違いについても、事前に理解しておくと良いでしょう。困ったときや心配なときは行政書士に相談のパートナーに指定して、遺言書の内容が法的に適正であるか確認することが大切です。
遺言書を作成しなかったとき
亡くなった人(被相続人)が遺言書を作成しなかったり、探しても見つからないようなときは、「法定相続人」が「法定相続分」に従って亡くなった人(被相続人)の遺産を相続します。
まとめ
今回の記事では、遺言書の種類と書き方には、それぞれ異なる特徴と注意点があります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれも、正確に作成し、適切に保管することが大切であることを解説しました。そして、遺言書の作成においては、以外にも法的な要件が存在して、これを満たすことを確認しなければならず、いつ、何を、どのようにすることがベストなのか?ご自身に置き換えても複雑になることもお分かりになったかもしれません。
そんなときはぜひ行政書士にご相談ください。