終活とは?何のために、どんな準備をすれば良いか徹底解説

いま、「終活」という言葉が生まれてから多くの人がその言葉を耳にする機会が増えてきました。でも、一言「終活」といっても、人それぞれとらえ方やイメージすることが違うようですね。自分自身がいざその時を迎えるまでに、やっておくことと言われますが、「これからも自分らしく生きるための大切な一歩」なんて言われることもあるようです。この記事では「終活」をテーマに、やっておかねばならないことについて、その進め方を解説していきます。

1. 終活とは?

「終活」とは、人生の終わりに備えて、自身の死後や老後に向けた準備を行う活動です。遺産相続、医療方針、葬儀や介護の選択など、自身や家族が困らないようにするための事前準備を指します。終活は、自分自身の旅立ちの日を見据え、家族に対する思いやりの一環として捉えられています。遺品整理や財産管理だけでなく、エンディングノートや遺言書を作成し、自分の意志や希望を残しておくことで、ご本人とご家族の両方のためになると考えておきましょう。

また、終活を行うことで、家族が遺産相続や葬儀の準備に悩まずに済むようになります。また、終活は単に「死」に備えるだけでなく、今後の人生をどう充実させるかを考える機会としても役立ちます。自分の価値観やこれから何を大切にして生きたいかを見つめ直すきっかけにもなります。

2. 終活を行う理由

2.1 家族への負担を軽減する

ご家族が亡くなると、葬儀、遺品整理、遺産分配など多くの手続きが残されます。これらは、残された家族にとって大きな負担となることが多いです。終活を通じて、葬儀の形式や遺産の分け方などをあらかじめ決めておくことで、家族が負担を感じることなく、スムーズに手続きを進めることができます。

また、相続の際のトラブルを防ぐためにも、終活で財産の整理を行い、遺言書を作成することが重要です。法的に有効な遺言書を準備することでで、遺産相続のもめ事を未然に防ぎ、関係者が遺産分配に関する不安を解消することができます。

2.2 自分の意志を尊重してもらう

終活は、自分自身がどのような最期を迎えたいかを家族や医療関係者に伝えるための手段でもあります。特に、延命治療を受けるかどうか、どのような医療を希望するかなど、自分の意志を明確にしておくことが大切です。エンディングノートやリビングウィルを活用することで、自分の考えを家族に伝えることができ、尊厳ある最期を迎える準備ができます。

リビングウィルについて(参照:厚生労働省HP PDFが開きます)

2.3 人生の振り返りと充実

終活は、単に「死」に備えるだけでなく、自分の人生を振り返り、今後どう生きたいかを考える機会でもあります。特に、老後をどう過ごすか、どのような活動や趣味に時間を使うかなど、今後の人生をより充実させるための計画を立てることができます。残された時間をどう使うか、誰と過ごすかを考えることで、充実した日々を送ることが可能です。

おじいさんとおばあさん

3. 終活で準備すべきこと

3.1 エンディングノートの作成

エンディングノートは、自分の意志や希望を具体的に記録するためのものです。葬儀の形式や場所、遺産の分配、医療や介護の方針など、家族が困らないように情報を整理して記載します。エンディングノートには法的拘束力はありませんが、家族にとっては非常に参考になるものです。また、エンディングノートには、自分がどのような思いを持っているかや、感謝の気持ちを書き残すこともでき、家族との最後のコミュニケーションツールとしても機能します。

3.2 財産整理と遺言書の作成

終活において、財産の整理は欠かせない準備の一つです。自分の持つ資産(不動産、銀行口座、保険、株式など)のリストを作成し、それぞれの管理状況を家族に伝えておくことが大切です。また、財産の分配方法を明確にするためには、遺言書を作成しておくことが重要です。遺言書には、自筆証書遺言や公正証書遺言があります。自筆証書遺言は自分で作成できるものの、法的に有効であるためには厳格な要件があるため、行政書士のように専門家の助けを借りるのが安心です。

とくに公正証書遺言は、公証役場で作成され、法的に確実性が高いため、相続争いを避けるために多くの人が選ぶ方法です。

遺言書

3.3 医療や介護の希望を明確にする

高齢になると、医療や介護の必要性が高まります。自分がどのようなケアを望むかを事前に決めておくことで、家族や医療従事者に自分の意志を伝えることができます。特に延命措置を希望するかどうか、介護施設に入所する場合の条件など、具体的な希望を事前に話し合っておくことが重要です。これらはリビングウィルやエンディングノートに記載しておくと安心です。

3.4 葬儀の準備と希望の伝達

葬儀は、亡くなった後に家族が行う大きな、そして重要な出来事です。どのような形式で行いたいか、誰に知らせてほしいか、遺骨の扱いはどうするかなど、希望を事前に伝えることで、家族が迷わずに進められるようにしましょう。事前に葬儀社と契約しておくことで、費用面でも安心感が得られます。

3.5 生前整理や断捨離

生前整理は、終活の一環として非常に重要な活動です。自身が持っている物を整理し、不要なものを処分することで、家族が遺品整理に悩まされることがなくなります。また、生前整理を行うことで、今後の生活に必要なものと不要なものを見極めることができ、身の回りをスッキリさせることができます。不要品の処分は、リサイクル業者や遺品整理業者に依頼することも可能です。

断捨離の様子。

4. 終活を始めるタイミング

終活を始める適切なタイミングは人それぞれですが、一般的には50代から60代にかけて始めるのが推奨されています。退職後、体力や健康に不安を感じ始める頃が、終活を考える一つの目安です。また、家族との関係や資産状況を見直すためにも、この時期は非常に適しています。

とはいえ、終活を早めに始めることに越したことはありません。若いうちから準備を進めることで、急な出来事にもしっかりと対応でき、老後の生活も安心して過ごすことができます。

家族会議を表現する画像

5. 専門家のサポートを活用する

終活には、法的な手続きや財産管理、医療や介護の選択肢など、多岐にわたる準備が必要です。そのため、終活を進める際には、弁護士や、行政書士、税に関することは税理士そして終活アドバイザーなど、専門家の助けを借りることが非常に有効です。特に相続や遺言書の作成のような法的な手続きには専門知識が必要になるため、専門家のアドバイスを受けることで、確実な準備ができます。

6. 終活の具体例:遺産相続トラブル防止策

遺産相続に関しては、終活を進める中で特に注意が必要です。遺産相続でトラブルを防ぐためには、以下のような対策が有効です。

6.1 遺言書の作成

遺言書を作成することで、財産分割について自分の意志を明確に示すことができます。自筆証書遺言は自身で作成できる一方で、公正証書遺言は公証役場での証人立会いのもと作成されるため、より確実性があります。家族間のトラブルを未然に防ぐ手段として広く利用されています。
いまは、自筆証書遺言書保管制度もありますので、検討してください。

6.2 家族とのコミュニケーション

遺言書を作成しても、それが家族にとって納得のいくものでなければ、トラブルが生じる可能性があります。そのため、事前に家族としっかりと話し合い、各々の考えや希望を共有することが大切です。例えば、家族会議を通じて、遺産相続の進め方や、どの財産を誰に譲るかなどを話し合うことで、誤解を避けてスムーズに進めることができます。

6.3 相続税対策

資産の多くを不動産や株式で保有している場合、相続税が大きな負担となる可能性があります。税理士のアドバイスを受け、贈与や保険の活用などを通じて相続税の負担を軽減する対策を講じることが重要です。相続税の申告期限は亡くなった日から10か月以内であり、それを過ぎると延滞税や加算税が発生するため、迅速な対応が求められます。


7. 終活を始めるための第一歩

終活を始めるには、まず自身の考えを整理することが必要です。エンディングノートに希望を書き込むところから始め、財産のリスト化や医療・介護の希望を具体化していくのが一般的です。初めて終活に取り組む際は、無理をせず少しずつ進めていくことが大切です。

また、終活に関するイベントやセミナーに参加することも有効です。多くの自治体や終活関連の団体が無料でセミナーを開催しており、他の人々と情報交換をしながら学ぶことで、具体的な取り組み方が見えてきます。

7.1 終活カウンセリングの活用

終活カウンセリングでは、専門のカウンセラーが個別に相談に乗り、終活を進めるための具体的なアドバイスを提供してくれます。カウンセリングを通じて、何から始めればよいのかが明確になり、終活をスムーズに進める手助けをしてくれます。


8. 終活の心の準備

終活は、人生の終わりに備える活動であるため、感情的な負担を感じる人も少なくありません。しかし、終活を前向きな活動として捉え、自分や家族のために準備を進めることで、心の負担を軽減することができます。終活は、自分自身の人生を振り返り、何を大切にして生きてきたか、そしてこれからどう生きるかを考える貴重な機会です。


9. 終活のまとめ

終活は、自分の死後のことを準備し、家族への負担を軽減するための重要な活動です。エンディングノートや遺言書の作成、医療・介護の希望を明確にすること、財産の整理を行うことで、家族が困らずにスムーズに対応できる環境を整えます。

また、終活は単なる準備活動に留まらず、自分自身の人生を振り返り、これからの生き方を見直すきっかけにもなります。自分の価値観を再確認し、人生を充実させるための手段として、終活を前向きに取り組むことが大切です。

終活に関する情報やサポートを受けながら、早めに準備を進めることで、安心して未来を迎えることができるでしょう。家族との話し合いを大切にし、専門家のサポートを活用しながら、終活を進めていくことをお勧めします。

行政書士の画像。