相続手続きにおいて、スムーズな進行の鍵となるのが「相続関係説明図」です。この図は、相続人同士の関係を視覚的に示し、遺産分割協議や相続登記などで役立つ図です。本記事では、相続関係説明図の書き方、準備すべき書類、そして法定相続情報一覧図との違いについて詳しく解説します。
1. 相続関係説明図を使用する場面とは?
相続関係説明図は、主に以下のような場面で使用されます。
- 遺産分割協議: 複数の相続人が遺産分割について話し合う際に、相続関係を明確に示すために利用されます。各相続人の法定相続分を視覚的に確認できるため、協議がスムーズに進行します。
- 相続登記: 不動産の名義変更手続きでは、戸籍謄本とあわせて相続関係説明図を法務局に提出することで、戸籍謄本の原本を返してもらえます(原本還付)。
相続関係説明図を正確に作成しておくことで、これらの手続きが円滑に進めやすくなります。
2. 法定相続情報一覧図との違いは?
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、相続手続きにおいて混同されやすい書類ですが、それぞれ異なる目的で使用されます。
- 相続関係説明図: 相続人間での話し合いをサポートするための図であり、非公式な書類です。主に遺産分割協議や上記の相続登記の際の戸籍謄本の原本還付を受けたいときに作成されます。
- 法定相続情報一覧図: 法定相続人の関係を法務局が証明書として発行する公的な書類であり、相続登記だけでなく、金融機関や預貯金の名義変更、相続税の申告、被相続人の死亡に起因する年金等手続など、多くの手続きに使用することができます。
☆法定相続情報一覧図の取得は、法務省のサイトで詳細が確認できますので、必要に応じてご覧ください。
法務省:法定相続情報証明制度のご案内
→こちらの記事でも紹介しています(リンク予定)。
3. 相続関係説明図と法定相続情報一覧図はどちらを使えばよい?
相続手続きでどちらを使用するかは、状況に応じて判断しましょう。
- 遺産分割協議や相続人間の話し合い: 相続関係説明図が有効です。各相続人が自身の相続分を理解しやすく、協議が円滑に進みます。
- 公的な手続きや証明書の提出が多いとき: 法定相続情報一覧図が便利です。この書類を使えば、複数の手続きで戸籍謄本の原本を繰り返し提出する手間が省けます。
使用する場面に応じて、どちらの図を作成したほうが良いのか判断することが、相続手続きの効率を高めるポイントです。
4. 相続関係説明図の説明に必要な書類とは?
相続関係説明図を作成する際には、次の書類を準備します。
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
被相続人の相続関係を正確に把握するため、出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。 - 相続人全員の戸籍謄本
各相続人の戸籍謄本を取得し、法定相続分を確認します。これにより、相続関係説明図を正確に作成することが可能です。 - 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
被相続人の最終住所を確認するための書類です。住民票の除票または戸籍の附票を取得しておきましょう。 - 相続人全員の住民票
現在の相続人の住所を確認するため、住民票を用意します(法定相続情報一覧図では任意情報)。
まずは、これらの書類を揃えて、相続関係説明図を正確に作成することが大切です。ご自身の記憶をたどるのではなく、このような公的書類を事実として作成しましょう。
5. 相続関係説明図の書き方
①相続人が配偶者と子一人の場合
②配偶者と兄弟姉妹(配偶者と被相続人の弟)の場合
書き方のポイント
- 最後の住所:住民票の除票(又は戸籍の附票)により確認して記載する。(最後の本籍の記載は、申出人の任意であるが、住民票の除票等が市区町村において廃棄されている場合は、被相続人の最後の住所の記載に代えて最後の本籍を必ず記載する。)
- 住所:住民票の写し等にあるとおり記載する。
- 申出人:申出人となる相続人には氏名の横に(申出人)と記載する。
- 作成者:作成した日を記載し、自身の住所を記載の上、記名する。
まとめ
相続関係説明図は、相続手続きにおいて円滑な進行をサポートする役割を果たします。適切な書類を準備し、正確に作成することで、遺産分割協議や相続登記がスムーズに進むでしょう。また、法定相続情報一覧図との違いを理解しておけば、状況に応じて使い分けることができます。しっかりと準備を行うことが大切です。「どうすれば一番スムーズに解決できる?」と迷ったときは、行政書士などの専門家への相談しながら、相続手続きを円満に進めていきましょう。